精神科に勤務する看護師さんにインタビュー
精神科でのお仕事「患者さまのペースでお話をうかがうこと。自分の気持ちをうまくコントロールすること。コミュニケーションの取り方がとても重要です」(※記事の内容については取材時のものです)
これまでのキャリアを教えてください。
医療法人社団 正心会 よしの病院
看護師 蚚﨑友香さん
看護学校を卒業後、千葉県の精神科病院で5年間勤め、現在のよしの病院に入職しました。私の場合、学生のときから精神科病棟で働きたいと思っていました。
患者さまとの関わりがより重要になってくるのが精神科で、人の心の構造や動きなど、心理学的な分野が昔から好きだったので興味があったのです。最初から精神科を志望する看護師は珍しいかもしれませんね。
現在のお仕事内容について教えてください。
当院はアルコール依存症に対する専門治療を行っているのが特徴です。最初に離脱期として身体的なケアを1週間程度行ったあと、病棟で薬剤治療やフィールドワーク、作業療法などを交えた回復のための教育プログラムを実施していきます。
私は現在、離脱期のなかで身体的なバランスをとっていく急性期領域にあたる看護を担当しています。
入職される前は、精神科病院での仕事内容や環境に対してどのようなイメージをもっていましたか?
精神科病院の業務に触れたのは、看護学生のときに実習に行ったのが最初です。 それまでは、施設も閉鎖的で雰囲気もどちらかというと暗いのでは、というイメージをもっていましたし、患者さまは病棟からなかなか出られない毎日を過ごしているのではないかと思っていました。
それだけに、病棟では患者さまと向き合う時間が長くて、看護師の責任は非常に重いだろうと考えていました。
また患者さまも、比較的怖い方が多いのかな? という心配も少しあったように思います。 現場を知らなかったので、どちらかというとネガティブにとらえていたかもしれませんね。
入職後、「思っていた感じと違うな」などと感じたことはありましたか?
病棟には患者さまが出られないよう施錠されている場所もありますし、必要に応じて閉鎖的な部分はありますが、考えていたよりもずっと明るい雰囲気でした。
患者さまは作業療法のプログラムに取り組んだり、散歩に出かけたりと自由度の高い毎日を過ごしていますし、特に当院は施設の雰囲気も非常に明るく、開放的なムードにあふれています。
実際、患者さまにはいろいろな方がおられますが、皆さん穏やかな方ばかりで、怖いといったイメージは少ないですね。けれども病気のためにさまざまなことに敏感になっていたり、感受性の強い方も多くおられます。
相手のペースに合わせて話を聞いて差しあげることが大切なので、コミュニケーションの取り方はとても重要です。また、精神科の看護師には穏やかな人が多いとも感じました。職場で辛いことがあっても優しく励ましてくれる方ばかりで助けられています。
現在の仕事で楽しいこと、また辛いことを教えてください。
当院のほとんどの患者さまは身体的には健康ですから、一緒にお料理を作ったり気晴らしに外に出かけたりといった楽しさを共有できるのはうれしいですね。
また、入院された時は他の方に抱きかかえられてこられたような患者さまが、無事に退院されて、通常の生活を続けていらっしゃることが分かるのもうれしいです。
退院して普通の生活に戻るということは、患者さま自身の努力はもちろん、周囲の理解や協力がかみ合わないとうまくいきませんので。
逆に辛いことは、思ったことをストレートにおっしゃる患者さまもいらっしゃるので、最初は気持ちが滅入ることもありました。 こちらの人間性を否定する言葉も出たりしますので。 そんなときは自ら一歩引いて、「病気で苦しいからこそ、そういう言葉を発してしまうのだ」と患者さまを客観的に見るようにしています。
自分の気持ちをうまくコントロールすることは、精神科の看護師の場合は特に大切ですね。
精神科病院で働くことのメリットはどのように感じますか?
私は仕事が終わったあとの自分の時間も大切にしたいと思っていましたので、現在の職場は自分のライフスタイルに合っています。 よほどの緊急事態がない限り残業はほとんどなく、17時の定時で帰ることができます。
お仕事の上での今後の目標について教えていただけますか。
これからも精神科で頑張っていきたいと思っていますので、たとえば認定看護師の資格など、チャンスがあれば目指したいです。
患者さまには対人関係の苦手な方も多いので、コミュニケーションの取り方などもアドバイスできるように勉強を深めていきたいと思います。
精神科を目指す人へのメッセージ
精神科での看護は、病棟でも看護師が主体的に考えて関わっていける仕事が多くあります。 患者さまのことを考えて自分でアドバイスしたり、自分のやり方や考え方に基づいた看護ができるので、仕事へのモチベーションは非常に高く持てると思います。
内面的なアドバイスをしながら、一方でそれが自分の成長にもつながっていることを実感できるのは精神科の看護業務ならではの特徴です。ぜひ一緒に頑張りましょう。
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取材協力
医療法人社団 正心会 よしの病院
今回取材にお伺いしたのは、医療法人社団正心会 よしの病院。町田市は多摩丘陵の自然ゆたかな環境にある166床の精神科病院です
アルコール依存症専門治療に力を入れており、全国から患者さまがおみえになります。明るく開放的な院内で、看護師さんたちがいきいきとした表情で働いていらっしゃいました。残業がほぼなく、プライベートとの両立がしやすい点は大きなポイント。勉強会も残業が発生しないよう、業務時間内に行っています。
今ではほとんどのママさんナースが産休後「ぜひよしの病院に戻りたい」と復帰されるそうです。「仕事をしながらの子育ては職場の理解があってこそ。“独身時代のようにバリバリできなくてもいい。長く働いていこう”と言っているんですよ」と看護部長の大堀様。
「精神科だからと特別な気負いは必要ありません。一緒に仕事をする中で、少しずつ経験を積み、成長していきましょう」とのことです。
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