回復期リハビリテーション病棟の病棟看護師さんにインタビュー
回復期リハビリテーションでのお仕事「患者さまが回復していく過程で喜びや悲しみを共有し時間をかけて正面から向き合う看護です」(※記事の内容については取材時のものです)
これまでのキャリアを教えてください。
医療法人社団苑田会 竹の塚脳神経リハビリテーション病院
看護師 武者知佳さん
看護学校卒業後、都内にある大学病院のCCUに勤務し、結婚後は愛知県の病院に入職して産婦人科病棟に配属されました。 その後、主人の転勤に伴って室蘭の病院に移り、放射線科に2年ほど従事。
昨年4月に東京に戻り、6月に当院に入職しました。回復期リハビリテーション病院での看護は初めてです。
現職に転職しようと思った動機はどういったものでしたか?
最初は同じ系列の急性期病院の心臓血管外科病棟に配属されました。 もともと急性期の志望でしたから仕事自体に違和感はありませんでしたが、私の場合は家庭との両立がなかなか難しかったこともあり、相談してグループ内の現在の病院を紹介していただいたのです。
ただ、回復期リハビリテーションの病院は初めてでしたから、不安もありました。
現在のお仕事内容について教えてください。
朝の申し送りを終えると、全員で各病室をまわります。シーツ交換を行い、ベッドの周りを拭くなど環境を整えていきます。そのときに患者さまとコミュニケーションをとることは大事な仕事のひとつです。
終わった後は、各自の受け持ち患者さまのところに分かれてリハビリを始めていきます。リハビリ担当のスタッフから運動面の課題が出されていて、それに添ってリハビリの時間外にも積極的にメニューをこなしていきます。おむつ交換や、食事や入浴の介助も順番に行っていきます。
入職される前、現職の環境やお仕事についてどのようなイメージを抱いていましたか?
急性期だと心臓マッサージや挿管など、仕事をイメージしやすかったのですが、回復期リハビリテーション病院の看護に対するそれはあまり明確ではありませんでした。 ただ、仕事のペースは緩やかなのだろうと漠然と思っていました。
急性期病棟では、患者さまの生死に関わっているという緊張感で、神経を研ぎ澄まして仕事をしていました。そうした環境とは逆の職場なのだろうというイメージでしたね。
また、医療の第一線から遠ざかってしまうことへの不安感もありました。長く急性期で仕事をしていましたから、回復期の看護に携わることで、看護師としてのキャリアにブランクが生じるのではないかという心配があったのです。
現在の病院に入職後、「思っていた感じと違うな」などと感じたことはありますか?
PT(理学療法士)やOT(作業療法士)などの他職種のスタッフが多くいて、お互いに連携しながら仕事をしている点がとても新鮮でした。職種によって患者さまに対する見方が違うことを知ったり、新しい知識や経験を得ることで視野が広がりました。
また、患者さまとの接点が多く、結びつきも急性期とは異なります。脳卒中で失語になってしまった方がいらっしゃったのですが、もちろん初めのうちはなかなか言葉が出ません。
けれど、必死でなにかを訴えている。私もその方の気持ちをちゃんと受け止めたくて、必死で聞き返したり、ジェスチャーをしたりコミュニケーションをとりました。そういうことを繰り返して意思疎通ができると、その後どんどんコミュニケーションが増えるんですね。
関わりが増えると患者さまも表現することに前向きになって、その結果ちょっとずつ言葉が出てくるようになる。
確かに医療的な要素は急性期に比べると濃くはありませんが、リハビリを通して、看護師として必要な人間性について大いに学ぶことができると感じています。
看護の現場で楽しいことや辛いことを教えてください。
急性期を経験してきた私が一番に思うのは、患者さまに、生きて、回復して、ご家族のもとへ帰っていただけることの、そのすばらしさです。看護師という職業柄、過去にお見送りをすることもありました。
けれどこの職場で、寝たきりで入院された方が、リハビリを経て、杖をついて歩いて帰られる姿などを見ると、私は毎回涙が出てしまいます。
一方、障害が残ることをなかなか受け入れられないご家族にアプローチし続けることは辛い仕事です。「これは一生つきあっていかないといけない麻痺ですよ」と説明しても受け入れることが難しいご家族もおられます。
辛抱強く丁寧にご説明していくしかありませんね。
現在のお仕事の上での目標とすることについて教えていただけますか?
これからも回復期リハビリテーションでの看護に携わりたいと思っています。単に経験年数を増やすだけではなくて、中身の濃い経験をして、着実にキャリアを積んでいきたいと思っています。
同時に、急性期の看護に関する情報も、可能な限り吸収していく姿勢は忘れないでいたいですね。そうすることで、看護師としてのスキルの幅がいっそう広がると思います。
回復期リハビリテーションを目指す人へのメッセージ
障害を負ってしまった患者さまが回復していくプロセスや変化を見られる仕事は、急性期では決して得られないやりがいがあります。 長い時間をかけて患者さまに正面から向き合う場合が多いので、喜びや悲しみを常に共有するのです。
患者さまのことで苦しんでも、患者さまのことで喜びを感じ、最後には報われる。看護師としての幸せが実感できる仕事だと思いますね。
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取材協力
医療法人社団苑田会 竹の塚脳神経リハビリテーション病院
今回取材にお伺いしたのは、医療法人社団苑田会 竹の塚脳神経リハビリテーション病院。 2008年12月に東京都は足立区・竹の塚に開院した病院になります。
苑田会は、足立区内に苑田第一病院をはじめとした複数の医療施設を擁し、急性期から回復期まで幅広い専門分野で地域医療に貢献。 この中で、竹の塚脳神経リハビリテーション病院は、苑田会のリハビリテーション医療を担っています。
現在、苑田会全体で看護部の約7割ものスタッフが子育てしながら働いていらっしゃいます。 託児所・短時間就労制度を導入し、ママさんナースが長く活躍できるよう全面的にサポートしている点が、7割という高い数字に繋がっているようです。
また、ブランクがある看護師さんに対応できる厚い教育体制がある点も安心。「このインタビューを通して、看護師の皆さんが回復期リハビリテーション病院に興味を持ってくれたらうれしいです」とのことです。
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